お金を落としたお姉さんを見る

山手線でつり革に
つかっておりますと
ジャリーンという音が

そちらに目をやると
小銭が飛び散っていて
まさに転がっているところ

その飛び散りかたから
落とし主と思われる方向を
確認

女性が「しまった」という風情で
手元と足元を見ながら
まさにかがもうとするところでした

この間おそらく2秒

つぎに僕が目にしたのは
小銭が自分の足元に転がってきた
ドア付近に立つ少年二人の動き

彼らはどちらも
スマホに熱中していたようで
反応が僕よりワンテンポ遅れました

しかしその目線の動きが
僕と同じだったのが面白かった

まず音に対する反応があり
つぎに転がる小銭を見つめ
そのつぎに落とし主を探す

彼らはまさに足元に小銭が
やって来たのでその後の行動が
僕と違いました

つまり拾うかどうか
その判断に約1秒

落とし主の女性を見て
(僕も彼らも後ろ姿しか見えない)
ちょっと止まっている時間があったのち
拾うためにかがんだので
この時間はけっこう正確であり同時に
「ひろおうかどうしようか」悩んでいる
内面を見透かすにも十分な時間でした

さて
何でこんなことを長々と書いているかといえば
「演技」の話なのでした

こうやって
不意の事態に対して
人がどういう順序で動くかを
僕は興味を持って見ているのだなあと
気がついた午後なのでした
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シリーズ江戸東京たてもの園
前川國夫邸のリビング
by sadsonghappystory | 2013-04-24 00:42 | いろいろ

★板垣恭一/いたがききょういち 東京都出身。演出家。日大芸術学部演劇学科、第三舞台を経て、フリーの演出家に。以降、数々のプロデュース公演を演出。映像ディレクターとしても活動。


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