心が痛む風景

今日は気持ちのやり場のない話です
元気じゃない方はスルーして下さい

数日前のこと
山手線に乗っていました
目の不自由なおそらく20代男性が
乗ってきました

彼は混み合っていた車内に
半ば体当たりみたいな感じで
乗り込んで来ると
プライオリティシートに
向かって行きました

女の子をつきとばし
青年にぶつかり
少年を手で押しのけて

プライオリティシートの前に立つと
白い杖を床にガンガンと打ち付け
自分をアピールします

混雑していたのでよく見えず
あくまで想像ですが
イアフォンをして寝ている人数人
無視しているであろう人数人

座れないと分かった彼は
ドアの横の手すりに向かいます
そこにいた女性に身体をぶつけて
スペースを確保すると静かになりました

目の障害の他に
彼の顔には大きな傷がありました

次の駅につくと
彼はホームに飛び出して行きました
ホームに登って来るエスカレーターの前で
とまどう彼が見えました

そこに年配の女性が通りがかり
彼の身体を抱きかかえるようにして
別の方向へ誘導していきました

彼はあらがうでもなく
かと言って恐縮するでもなく
女性の誘導に従っていました

そして僕の視界からは
消えてしまいました

僕はこの一連をずっと見ていました
見ている以外に何をするでもなく
じっと見ていました

彼に押しのけられた少年が
おどろいてふりかえり
彼の顔と持っている杖に動きを止め
しかし怒りの収まらない顔で
彼の方をじっと見つめているのも
僕は見ていました

「やめろよ」と言うこともなく
「どうしたの?」と声をかけることもなく
僕はただその風景を見ていました
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大阪の景色
高速道路とJR
by sadsonghappystory | 2012-06-29 01:06 | いろいろ

★板垣恭一/いたがききょういち 東京都出身。演出家。日大芸術学部演劇学科、第三舞台を経て、フリーの演出家に。以降、数々のプロデュース公演を演出。映像ディレクターとしても活動。


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